「やめてよ、しおちゃん地味に力強いか、ら……」
大和の頬を両手をはさむ。それから、唇に触れるだけのキスをした。
「夢じゃないでしょ」
「今の……」
耳を赤くする大和が可愛い。
「もう1回しとく?」
「待って」
「だめ?」
「そうじゃなくて、」
大和はそこで、一呼吸をつき、
「俺からする」
私の髪の毛をそっと撫でてから、ゆっくり唇を重ねた。
◆
仲直り
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中庭には石のテーブルと木製のベンチがあり、私たちはベンチに2人肩を並べて座った。鱗雲が浮かぶ青い空と、イチョウの黄色がキレイ。
「ごめんね、大変な時に1人にして。あと、この前はキツイことを言って、ごめんなさい」
「俺の方こそ、意地張ってごめん」
「ずっと考えてたんだけど、今の私にとって大和が1番だと気付いたの。
だから、出張も断っちゃった」
明るい声で言ったのに、大和はまた泣きそうな顔をした。
「自分でも情けないよ。仕事の足を引っ張るようなことをして」
「違うよ、私がそうしたいって思ったからなの」
「しおちゃんの出張が終わったら、迎えに行くつもりだったんだ」