くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)

「やめてよ、しおちゃん地味に力強いか、ら……」

大和の頬を両手をはさむ。それから、唇に触れるだけのキスをした。

「夢じゃないでしょ」

「今の……」

耳を赤くする大和が可愛い。

「もう1回しとく?」

「待って」

「だめ?」

「そうじゃなくて、」

大和はそこで、一呼吸をつき、

「俺からする」

私の髪の毛をそっと撫でてから、ゆっくり唇を重ねた。



仲直り

仲直り


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中庭には石のテーブルと木製のベンチがあり、私たちはベンチに2人肩を並べて座った。鱗雲が浮かぶ青い空と、イチョウの黄色がキレイ。

「ごめんね、大変な時に1人にして。あと、この前はキツイことを言って、ごめんなさい」

「俺の方こそ、意地張ってごめん」

「ずっと考えてたんだけど、今の私にとって大和が1番だと気付いたの。
だから、出張も断っちゃった」

明るい声で言ったのに、大和はまた泣きそうな顔をした。

「自分でも情けないよ。仕事の足を引っ張るようなことをして」

「違うよ、私がそうしたいって思ったからなの」

「しおちゃんの出張が終わったら、迎えに行くつもりだったんだ」

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