【『ファイトソング』感想7話】一瞬の彗星が思い出を刻む・ネタバレあり
何せ家族同然の幼なじみにすらなかなか言えなかったのである。
いや、逆に春樹や慎吾が真剣に花枝を想い、共にある未来を描こうとすればするほど、花枝のほうは自分の人生に巻き込めないという決意を固めているのかもしれない。
そんな花枝のタイムリミットを知らない春樹は、一発屋を脱して曲を作るために、『あの人はいま』的な企画のラジオ番組に出ることを決意する。
マネージャーの弓子(栗山千明)も、かつてのバンド仲間の薫(東啓介)もシャイな春樹が嫌な思いをするだろうと心配するが、今後の音楽活動に繋がるからと、春樹は収録に出かけていく。
物語の最初、冷え冷えしているように見えていた春樹の周辺の人間関係が、物語の深まりとともに不器用で優しい人たちの集まりだと自然に分かっていく過程は岡田脚本らしさに溢れている。
一発屋として自虐ネタを求められたラジオの収録で、春樹は花枝との出会いのエピソードを披露して場を盛り上げることに成功する。
「一発屋でも凄いことなんだなって、今、思ってます。一発屋になれてよかった、とも思ってます」
曲を作るために引き寄せた相手が、曲があったからこそ出会えた大切な誰かになった。