【『初恋の悪魔』感想9話】汚れながら人生は続く・ネタバレあり
連続殺人の犯人だという確証を掴むために雪松を尾行する悠日と琉夏は、雪松の息子の弓弦が古い靴を廃棄しようとする現場を抑え、それがきっかけで連続殺人事件の真相を聞くことになる。
息子の雪松弓弦を演じる菅生新樹(すごう・あらき)は、今や日本のエンタメを代表する俳優の1人である菅田将暉の実弟とのこと、確かに遠目には兄の面影を彷彿とさせるものがある。
父の犯罪に巻き込まれた息子の悲痛さから一転して、おにぎりを口にしながら刃物を振るい、襲撃者に転じるさまは、見ていて恐怖で肌が粟立つようだった。
『あの』菅田将暉の弟であるというあおりを、最大限に逆手に取った鮮烈な地上波作品デビューである。その大胆さ、覚悟。これからのキャリアが楽しみだ。
それにしても、これが最初の頃の鈴之介ならば、ひとり猟奇犯罪の本を読み漁って、エキセントリックに研ぎ澄まされていた鈴之介なら、家族の犯罪を告発しているということを差し引いても、刃物のある部屋に事件がらみの青年を一人で放置したりしないのではないかと思ってしまう(5話で描かれたが、そもそも鈴之介の自宅には地下室もある)。
おそらく星砂への想いと惑乱が、一連の事件の中でその判断の切れ味を狂わせたのだと思う。