【『ファーストペンギン!』感想4話】生きてく腹をくくるんだ!・ネタバレあり
物語は10年前の話だが、おそらく日本全国、今もどこにでもある親子のありようだと思う。
若い世代はSNS等を通して、地元に戻ってからも選べたはずなのに選べなかった、あるいは選ばなかった人生を横目で見つづける。親の世代はそんな若い世代の焦燥を腫れ物のように持て余す。
今回とりわけ、たくみに東京で何があったのかと問う、若手漁師の永沢(鈴木伸之)との会話が印象深かった。
問いかける永沢に、特に何があったわけじゃないが、東京での生活ひとつひとつに疲れたのだとたくみは自嘲気味に応える。
学歴や教養や社会常識、地元の暮らしで存分に得られなかったものが、都会での彼を疲弊させたのだと思う。
さりとて帰ってきても、さびれゆく土地の、さびれるだけの理由がもう見えてしまっていて、やるせなさは行き場がない。
地方で生きていく若者の焦燥や、それでも捨てられぬ愛着がよく描かれたエピソードだと思う。
高級フランス料理店での魚料理を通じて、たくみは鮮魚ボックスへの和佳の情熱(彼女はそれを『ロマン』という言葉で表現する)と漁師たちの魚への誇りに触れ、浜での生き方に小さな希望を見出す。
大きな転機があるわけではないが、ひとつひとつそこで生きる理由を見つけて、いつか誇りになっていく。