【『大奥』感想5話】福士蒼汰と堀田真由が演じきった満身創痍の愛の帰結
は、その唯一の落胤(らくいん)である少女(堀田真由)を拉致してきて家光の身代わりとし、正統な血筋の世継ぎを産ませようと画策する。
頑なに子供を産むことを拒む少女に春日局が引き合わせたのは、公家出身の僧侶・万里小路有功(福士蒼汰)だった。
望まぬ還俗を強いられ、未来を奪われてもなお慈悲深さを失わない有功との日々で家光は愛情と安らぎを得るが、二人の間に子は出来ず、やむなく家光は他の男との間で子を産む。
だが、出産の為に他のどの男と関係を持とうが心は有功にある家光と、愛する女が他の男に抱かれる苦しみから逃れられない有功との間には、細くても埋まることのない悲しい溝が出来てしまっていた。
※写真はイメージ
死の間際、家光が有功に頼んで身体を寄せ合う場面、そして本当の名前を呼んでほしいと家光がせがむセリフは原作にない、ドラマのオリジナルである。
名は人が生きていく尊厳の最後の砦であり、悲しい運命の女将軍はそれを有功の存在で守り通したのだと分かる、素晴らしいシーンだった。「千恵様」と万感の想いを込めた福士蒼汰の表情と声にこみ上げるものがあり、更にそれに「…うん」と小さく頷く堀田真由が、出会った頃のように性別を越えた無垢な笑顔で頷くのを見ていて、思わず声と涙をこらえきれなくなった。