【『大奥』感想5話】福士蒼汰と堀田真由が演じきった満身創痍の愛の帰結
※写真はイメージ
悲しい人生だが確かな幸せもあったのだと伝わってくる。
春日局が有功に還俗を強い『仏をさらった』、その時に望んだ『上様こそこの世で最も救われねばならないひと』という願いを、有功は果たしたのである。
ドラマの有功はより人間らしさが溢れていたし、春日局の深みのある烈女ぶりも見事だった。そして、玉栄を演じた奥智哉の愛嬌とバイタリティもまた印象深い。
この玉栄の可愛らしさが私たちの記憶に残れば残るほどに、綱吉編は業の深い、やるせないものになるだろう。
かくして、家光の死から物語は一気に五代将軍綱吉の時代にとぶ。戦乱の世は遠のき、大奥は絢爛豪華になり、そして江戸の町では庶民が芸能や食事を楽しんでおり、これぞ我々がイメージする『大奥』の世界という高揚感に満ちている。
御鈴廊下、しずしずと女将軍に付き従う極彩色の衣装に身を包んだ御台所や御中﨟たち。
その中で、権力、美貌、跡継ぎの娘、腹心の部下、世に人が望む全てを持っているかのように見える女将軍・綱吉は倦怠にうんざりしている。
大奥での房事に飽き飽きしている綱吉は、かつての愛人で、今は重臣・牧野の夫になっている男を目の前で奪いとり、更に息子まで大奥に召し出して奪ってしまう。