くらし情報『【『大奥 Season2』感想3話】玉置玲央と村雨辰剛、絶望がうかびあがらせる人の尊厳』

2023年10月20日 15:48

【『大奥 Season2』感想3話】玉置玲央と村雨辰剛、絶望がうかびあがらせる人の尊厳

奇しくもここ数年、感染症としての梅毒は増加傾向だという(原作が描かれた2013年より、2022年の梅毒の報告数は9倍近くになっている)。

ドラマの中で描かれる梅毒としては、今作の脚本・森下佳子が手がけた、同じくコミックから映像化された『JINー仁』(2009年・TBS系)を記憶している方も多いかと思う。

その縁のごとく、青沼が田沼に対して自らの生き方を『仁の道』と表現した言葉には胸が熱くなった。気がふれてしまっては自分ではないと泣いて訴えた源内が、黒木の見舞いに最後まで饒舌に希望を語り、更に盲目ゆえに黒木の優しい嘘を見抜けなかったのは、ささやかな、この悲しいエピソードの中で本当にささやかな救いだと思う。

そして物語の救いのなさと対照的に、江戸城に巣食う権力者・一橋治済(仲間由紀恵)は、震えるほどに美しい。

優雅な所作、無垢を装った怪訝そうな表情、そして「将軍になるのは私ではないのよ」と甘い声で微笑む姿は、吉宗を演じた冨永愛と同じく、この役が彼女のキャリアを更に高みに押し上げるだろうと確信に足るものだ。

一度は花が咲きかけた、赤面疱瘡撲滅の希望はついえてしまった。

しかしタンポポの種のように、知識と経験は小さな希望となって大奥の外に飛び立った。

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