くらし情報『持ち帰りの行列に耐えきれず、店内で騒いだ子供 優しく話しかけてきたのは?』
まだ麻布十番に住んでいた頃のことだ。そこには「あべちゃん」という有名な焼鳥屋があって、まだ保育園に通っていたうちの子どもたちの大好物だった。その日も妻が子どもたちを連れて買いに行った。ところが、店内が混雑していたらしく、持ち帰りの客の長い列ができた。
— 高橋源一郎 (@takagengen) April 5, 2020
ジレた子どもたちが、妻が気づかぬうちに列をはずれて店の中に入りつい大声を出した。座っていた客のひとりが怒ることもなく「どうしたの?」と訊ねた。子どもは「いつまでたってももらえない」といった。
「そうか」とその人はいった。すぐに、持ち帰りの客の列が動きはじめた。— 高橋源一郎 (@takagengen) April 5, 2020
どうやら、その客が、自分たちの分を譲って持ち帰りの客を優先するよういってくださったらしい。お金を払おうとすると、店の人から「いりません。もう払っていただいてます」。その客が、列に並んだ人全員の焼鳥代を払っていたのである。その客は志村けんさんだった。R.I.P.
— 高橋源一郎 (@takagengen) April 5, 2020