コロナで日常が壊れた保育所 余裕のない日々で、保育者が学んだことは…【きしもとたかひろ連載コラム】
理想通りの、一片の過ちもない完璧だったといえる保育があっただろうか。
無いかもしれないな。測れるものではないから主観になってしまうんだけれど、主観ってだいたい自分に甘いはずなのに無いって言えるから間違いないんだろう。
それは自分が謙虚だとか、「今に満足しては成長できない」というような向上心の類ではないと思う。
わざわざ考えることでもなかった。ずっと前から分かっていることを確認するように、今さらながら「100点の日、そんなものは存在しないのだ」ということに気づく。
理想のとおりってなんだろう
宝くじが当たったらなにがしてみたい?
路線バスの一番後ろの席に座って祖父と話したのを思い出す。たしか、千里中央という大阪市街から少し外れたニュータウンの駅にあるスターバックスでコーヒーを飲んだ、その帰りだったと思う。
なんでそんな質問をしたのか覚えていない。車内広告を見て思いついたのか、話の間を持たせようとしたのか、はたまたガンを患って余命宣告されていたじいちゃんの残りの人生で何かできないか考えて、浅はかながら質問の答えに「ヒント」を探したのかもしれない。
祖父は「ベンツに乗りたいな」と答えた。