くらし情報『コロナで日常が壊れた保育所 余裕のない日々で、保育者が学んだことは…【きしもとたかひろ連載コラム】』

コロナで日常が壊れた保育所 余裕のない日々で、保育者が学んだことは…【きしもとたかひろ連載コラム】

「余裕がある」ことを、ハンドルの「あそび」に例えた話を聞いたことがある。ハンドルを回したときにすぐにタイヤが動いてしまわないようになっている、その少しの余裕があるからデコボコした道でもまっすぐと走れる。

頑張りすぎるなとか型にはまるなという文脈だっただろうか。とにかく人生にもあそび(余裕)が必要だ、という話だったような気がする。

なるほど、たしかに人生に余裕は必要だ。けれど、それは「まっすぐ走るためにあったほうがいい」ハンドルのあそびなんかではなく、「ないと走れない」ガソリンなんじゃないのか。

「ないと故障してしまう」エンジンオイルかもしれない。車に詳しくないので、例えが合っているのかわからないけれど、ようは、余裕は「あったほうがいい」ではなく「ないといけない」ものだった。


子育てを始めてから「自分がこんな人間だと思わなかった」という悩みを抱く人がいる。やらなきゃいけないことが増えて、余裕もなくなる環境なら、なおさら今までの自分ではいられないだろう。

あまり怒ったりしないとか、穏やかに人と接することができるというのは、その人がもともと持っている素質ももちろんあるだろうけれど、多くは環境によって「そうしなくてよかった」

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