電車でもめる酔っぱらいと高校男児 乗客が見て見ぬふりをしていると…
酔っ払い男はますますヒートアップし、いまにも高校生に掴みかからんばかりだ。見るとどの乗客も体を硬くし、薄目を開けて見て見ぬ振りをしている。なかには寝ているふりをしているような者もいる。
かくいう私も、はっきり目覚めるにつれ体がこわばってきた。
ー助けてやりたいが、下手に口を出して怪我をさせられてもなあ……。
そんな自己弁護をしている時だ。酔っ払い男が高校生の胸を拳で突いた。
ーやばい。
これは大ごとになるぞ。
そう思った時、それまで寝たふりをしていると思っていた30歳くらいの男性が、突然、席を立った。
「そんなことをしたらダメでしょ!」
男性は躊躇せずに酔っ払い男の腕を掴んだ。男は「せやかて、こいつが悪いんですねんで」などと言いながら、なおも高校生に暴力を振るおうとする。ちょうどその時、列車が停車しドアが開いた。その駅が彼の降りる駅だったのか、高校生は出口へと向かう。そして男性に一礼して降りていった。
ーやれやれ。
私を含めみながそう思っただろう。
ところが今度はその酔っ払い、止めに入った男性に絡み始めたのである。しかも、男性が席に着くとその隣に座って「あれはあいつが悪い」