体の一部を持っていかれるような痛みに、毎回、少し泣いてしまいます。
8月の終わり、お正月明けの出発ロビーには、留学生らしい学生たちとその家族を多く見かけます。子どもが保安検査場に入り、その姿が見えなくなってもその場を離れずに立っている母親たち。
私もそんな親の一人なのですが、(さあ、帰りましょう)と切り替えることができません。子どもがまた手の届かないところに行ってしまったことを噛み締める…そして、次の日常にリセットするための時間なのかもしれないなあと思うのです。
お盆とお正月に故郷に帰る。子どもが帰ってくるときには、お母さんはきっとご馳走をたくさん作って待っていることでしょう。
それを作っているときの母親の気持ち。久しぶりの再会を楽しみに、静かにわくわくし、子どもの好きなものをたくさんこしらえるでしょう。
その同じ気持ちを私も味わっています。楽しみで仕方がないのですが、同時に母親とはせつないものだとも思うのです。
私はいつも、展望ロビーから機影が見えなくなるまで見送ります。これも、私のリセット法のひとつなのかもしれません。
飛行機に乗っているすべての人が無事にそれぞれの目的の場所に着くように、激しく祈ります。