骨折した客を見て、レジ店員が…? さらに、その後驚きの展開に
「次のお客様が待っているだろう!早く戻れ!」
男性店員の叱咤が耳に届く。たしかに、他の十数名の客にとっては迷惑な行為だったかもしれないし、店側のマニュアルとしては「間違い」とも言える行為だったのかもしれない。しかし、たった一人、救われた人間がここにいるのだから釈然としない。
怒られる覚悟で勇気を振り絞った行動だったのか、何も考えず当たり前のように身体が動いたのか。彼女の当時の胸中を代弁するのは難しい。ただ一つ確実に言えるのは、困った人を救済したいという純粋な「思いやり」がない人間には出来ない行動であったこと。
あの日受けた思いやり。
それは釈然としなくて、四年経った今でも、温かく、胸に残る大事な思い出。
grape Award 2020 応募作品
テーマ:『心に響いた接客エッセイ』
タイトル:『思いやりの連鎖』
作者名:鈴木 円香
エッセイコンテスト『grape Award 2020』の審査員が決定!
2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。第4回目となる2020年の審査員には、grapeでも人気の漫画『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』シリーズでおなじみの漫画家・松本ひで吉さんが決定しました。