姪の仕事を「しゃべくりやな」といっていた伯父 急逝後、発覚した『事実』に涙
そう心がけるだけで会話はスムーズになり、思いがけず盛り上がったり、話の核心に触れられたりすることもあった。原稿を書くための材料集めにしか考えていなかった取材の大切さを、改めて思い知らされた。
あれから十数年、数えられないほどの人に出会い、問いかけ、語らってきた。あるときは取材慣れしていない若手タレントに「なんでこんなに話しやすいかな」と目を見張られ、あるときは大物経営者に「余計なことまで話しちゃったよ」と照れ笑いされた。
いつしか、人とのコミュニケーションは私の仕事の真ん中に位置していた。
昨秋、伯父が急逝した。慌ただしく葬儀を終え、親族が寄り集まると、思い出話は尽きない。つられるように私も、「しゃべくり」のエピソードを持ち出した。
すると、同年代のいとこの間から「俺も!」「私も!」という声が続いた。
伯父から「しゃべくりの仕事」と決めつけられたのは、私だけではなかったのだ。しかも、それぞれの職種はバラバラ。営業マンや接客業はともかく、経理など事務職の人まで揃って同じように断定された。そして、誰もが抵抗を感じながらも言いくるめられ、心に刻まれた言葉に従うように自分の仕事を振り返るきっかけにしていた。