2021年4月9日 16:26
褒められた子供がムッとした理由 戸惑う大人にかけた言葉は…【きしもとたかひろ連載コラム】
学校に行けるようになった。ピーマンが食べられるようになった。友達と仲良く過ごせるようになった。落ち着いて話が聞けるようになった。聞き分けが良くなった。
じゃあそれで、その子は生きやすくなったんだろうか。
それで一つ問題が解決したように感じるけれど、その子のしんどさは「できなかったことができるようになった」という姿に隠れただけで、ずっと深くに残ったままかもしれない。
子どもの育ちを見守って、その育ちに喜びを感じる立場だからこそ、その成長した姿に喜びを感じる。
それは悪いことではないけれど、それと同時に、無理していないだろうか、しんどさを抱えさせていないだろうかと、見えない部分にも目を向けていられたらと思う。
できなかったことができるようになって生きやすくなることもあれば、しんどくなることもきっとある。
僕がほんとうに大切にしたいことは、できなかったことができるようになることではない、もっとほかの何かだ。
見栄えのするものに覆われてしまってその大切にしたいことが見えなくなる前に、ちゃんとそれに気づけるようにしていたいな。
去年と今年を比べて、先月と今月を比べて、昨日と今日を比べて、子どもができるようになったことは、きっとたくさんある。