2018年12月6日 11:00
デヴィ夫人語る『女性自身』との60年「袈裟斬りにされた(笑)」
私が学生だった当時の日本ではまだテレビも普及していなくて、私は世界文学全集を読んで青春時代を過ごしたものでした。なかでも印象的だったのが、シュテファン・ツヴァイクの『マリー・アントワネット』。そこに、アントワネット随一の罪は、“女王としてではなく、女性として幸せになろうとしたこと”と書いてありました。それを覚えていて、私は“女性としてではなく、大統領夫人として国家と国民のために生きる。そして大統領のために、全身全霊をかけてお尽くししよう”と決心したのです。そう考えたとき、今まで重ねてきた苦労の意味に気付くんです」
そう言って、自身が育った戦後の昭和について振り返る。
「敗戦後の食糧難はじめ、定時制高校中退後すぐに働き始めたときも人の3倍勉強し、3倍働き、3倍努力して、人の3分の1の睡眠で頑張ってきました。ですから、『夫人はラッキーね』と言われると心外です。
1日が30時間、1週間が10日というくらい、よく学び、よく働き、よく遊びました。私が幸運だとしたら、戦争と貧しさの経験があること。貧しさとは、イデオロギーとパワーの根源ですよ。戦後、みんな貧しかったけれども、私は母と弟を養いながら、勉強し、働きました。