2019年6月20日 06:00
無実の“虐待疑惑”で勝手に後見人を――当事者語る行政の闇
私は施設の職員に“家に帰して”“タクシーを呼んでほしい”と繰り返し頼みましたがずっと無視されました」
着の身着のままで施設に入れられ、家族と会うこともできず、連絡も取れない状況が続いた。静江さんは「家族が迎えに来ないので、“捨てられた”とさえ思った」という。
一時保護の名目は娘の浩子さんによる母・静江さんへの虐待疑惑。後に情報公開請求で入手した市の内部資料には、こう記されていた。
「次女からのDVが発覚」「主(静江さんのこと)の体にアザや外傷が見受けられた」「緊急措置として施設に入所させ次女との分離を図った」
浩子さんによると、静江さんは脳梗塞の予防のため、血液がサラサラになる薬を服用。そのせいで、ちょっとしたケガでも血が止まりにくく、こぶやアザができたり、広がりやすかったという。
「母は活発な性格。体を動かすのが大好きなので、私はできるだけ母の自由にさせていました。
でも24時間付きっ切りというわけにはいきません。私が目を離した際に、家や庭などで転んでケガをすることもありました。そのことはケアマネジャーや市の職員にも説明していたのですが、彼らは私が虐待したと決めつけて母を連れ去ったのです」