くらし情報『本人は虐待を否定したのに。勝手に行政が“後見人”で国賠訴訟へ』

2019年6月20日 06:00

本人は虐待を否定したのに。勝手に行政が“後見人”で国賠訴訟へ

家族が全員反対したにもかかわらず、軽い認知症とされた静江さんに勝手に後見人をつけてしまったのである。

成年後見制度は2000年に介護保険制度と同時にスタート。認知症などで判断能力が十分でない人の代わりに、家庭裁判所が選任した後見人が医療・介護契約を結んだり、財産管理をする。

成年後見制度の利用申し立ては、本人、4親等内の親族のほかに市区町村長などもできる。桑名市は本人の診断書を添えて、市長名で津家裁に申し立てた。

成年後見制度に詳しい一般社団法人「後見の杜」の宮内康二代表が語る。

「成年後見制度で最も重要なのは後見制度を利用する認知症の人の意思の尊重(民法858条)です。植物状態の人を除き、たいていの認知症はまだら状態。
程度の差こそあれ意思表示ができます。ところが実際には、本人の意思の尊重という根本原則が形骸化しており、意思を無視した誤った運用が堂々と行われています」

たとえば利用申し立てを受けると、家裁の職員が本人に会い、健康状態や利用の意思を確認する必要がある。また本人に対し精神鑑定を実施することも、法律で定められている。だが、これには植物状態で意思表示できないような場合は、手続きを省略できるという但し書きがある。

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