くらし情報『深刻事態のあとに笑いが―阿川佐和子&ヤマザキマリ「母娘介護対談」』

深刻事態のあとに笑いが―阿川佐和子&ヤマザキマリ「母娘介護対談」

いまでは私と女友達のような会話もしています」

阿川「私も母が認知症になったばかりのころは、お風呂に一緒に入ったりしていましたから。すっぽんぽんになって、何十年ぶりかしらね。1回、お風呂で倒れて以来、1人では入れられなくなって」

マリ「1人でのお風呂は怖いです。うちは3回、救急車を呼んでいます」

阿川「一緒にお風呂に入ると『あんた随分おなか出てるわね』っておなかを突かれたり、こっちも突き返して『イヤン』と言われたり。そんなことをしながら、全身チェックもできるんです。湿疹を見つけて『かゆい、かゆい』と言っているのはこれが原因か、とか、巻き爪が痛そうだなとか」

マリ「監視されるよりも、一緒にお風呂に入ったほうが母も安心しますよね。私も、今年の冬、母と妹と一緒に、温泉に行ったんです」
阿川「あら、えらい」

マリ「貸し切りのお風呂に入れて、みんなですっぽんぽんの状態になって。そのとき、また一段と心を許してくれたというか、恥ずかしがらなくなりました」

阿川「甲冑を脱いでくださったのね。
一緒にお風呂に入るのは、母と娘だからできること。一方で、最近では、認知症が進んで、だんだん、私のことを、母の姉だと勘違いするようになりました。

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