2019年8月22日 11:00
老老介護でも、子どもいなくても「家族信託」で資産を残す
認知症になっても自分や家族が安心して暮らせるように、さらに、死んだ後も自分の財産を自分の思いどおりに親族に渡すことができるように、家族信託を選択する人が増えてきたという。
そこで、家族信託を使ったほうが、メリットが大きいケースを紹介してもらった。
【ケース1】夫が、認知症の妻に財産を残したい
A太さん(85)は、同い年の妻が軽い認知症のため、老老介護をしていた。
「自分が先に死んだら妻の面倒は長男一家にみてもらおう」と、お盆で家族がそろったときに決めたのはいいが、すんなり行かない場合があることがわかった。
「A太さんが亡くなった後、法定相続人は妻と長男ですが、妻が認知症だと遺産分割協議ができません。遺言書で妻に遺産が行くようにしても、妻の財産を管理してもらうため、後見人などが必要になってしまいます。それを避けるために、預貯金の半分と自宅を信託財産に充てて、A太さんが死んだ後も、妻が生活できるようにしました」
この場合、A太さんが委託者で第1受益者、長男が受託者、妻を第2受益者にした。契約書には、自分の死後、妻の認知症が悪化したときには、受託者である長男が自宅を売却してお金をプラスし、介護施設に入居できるように指示した。