2019年8月29日 11:00
時効間近に新たな可能性浮上、熊谷ひき逃げに2台以上が関与か
私自身も交通事故で子どもを亡くしているので、お母さんの気持ちに寄り添いたい一心で」(佐々木さん)
しかし、それはつらい作業でもある。代里子さんが警察から衣服を提供してもらったときのこと。
「直接中が見えないように茶封筒に入っていたのは『心して見るように』というメッセージだったのでしょう」(代里子さん)
封筒を開けると中には、血で染まった下着が。痛みや苦しみが一気に伝わってきた。
「頭蓋骨の破片などもついていて、痛かったんだろうなって思って……、大号泣していました」
こうした証拠品をもとに鑑定作業に入ったとき、佐々木さんは、代里子さんが事故発生当時から感じていたのと同じ疑問を抱いた。佐々木さんが語る。
「事故現場の記録は、ほぼ完璧でした。疑問だったのは、孝徳くんと自転車が8メートルも離れていること。
1台の車が衝突してひいてしまったとすると、このような状況になる可能性は極めて低い。警察では『何らかの事情』としていましたが、いくら考えても、その理由が思い浮かばない。むしろ、1台目が衝突し、倒れたところを2台目の車がひいたと仮定すれば、矛盾がなくなると見立てました。そうした鑑定結果は、警察にも報告し、情報共有されています」