くらし情報『太宰牧子さん「乳がん確率7割。遺伝性と診断された私の選択」』

2019年10月7日 11:00

太宰牧子さん「乳がん確率7割。遺伝性と診断された私の選択」

「責任とれないから」と、繰り返す声を背中に、太宰さんはマイクを握った。

「当事者会をつくりました、太宰と申します!」

しかし、その勇気は実を結ばなかった。当時、新聞社の取材では忖度が働いたのか、実名で報道されることはなかった。当事者会も当初、匿名だったため、会員が入ってこない。

「当然ですよ。誰がやっているかわからないような会に、『私も遺伝子変異がある』なんて言うはずがないですよね」

’15年、検査会社から声がかかり、遺伝専門医らが集まる学会のランチョンセミナーでは実名登壇した。その後、『読売新聞』で、実名入りの記事が出た。「その途端、会の電話が鳴り、会員が増えはじめました」

乳がんは、日本で毎年、約10万人が罹患する。
そのうち10〜15%、1万〜1万5,000人が遺伝性といわれている。しかし、現在でも当事者会の会員数は全国で70人だ。

「自分が遺伝性だと知らない人も多いでしょう。遺伝というと、拒否反応が出てしまう日本の社会を変えないと、難しいですね。自分の遺伝的な体質を知り、家族のがんや病歴をまとめ、共有することで健康管理ができます。遺伝をマイナスに捉えずに、知ることでリスク対策ができ、がん死を減らせることを知ってほしい」

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