『ドクターX』大門未知子は“社会のモヤモヤ”から生まれた
米倉さんが持つ“野生の魅力”を生かした、医学の修業をどこでしたかもわからない医師がいい。大門未知子が特定の病院に所属しない、フリーランスの医師であるのもそこからきています」
そして誕生したのが、群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、たたき上げのスキルだけを武器に突き進む外科医・大門未知子だった。
その設定には、内山さんが、会社員として見聞し、経験したことが多く生かされているーー。
「男女雇用機会均等法の施行後の’88年に入社し、はじめは秘書室に配属されましたが、“いつかドラマを作るときのために”と組織内の人間観察を心がけていました」
大門未知子のスタンスにこめられているのは、内山さんが若手時代に感じた“違和感”の数々。
「社長や役員がエレベーターに乗ってきたら、ほかの社員は先に乗っていても降りて譲る。そんな暗黙のルールを秘書時代に目の当たりにして、驚きました。それなら未知子は、自分が乗るエレベーターにどんなに偉い病院関係者が乗ってきても、微動だにしないようにしよう、と(笑)」
制作部に異動し、紅一点の見習いアシスタントプロデューサー時代を経て、プロデューサー職に就いた内山さん。しかし、初めて手掛けたドラマは打ち切りとなるなど、制作部での仕事は“失敗”の連続だった。