くらし情報『林家木久扇の死生観「くだらない落語が自殺を食い止めた」』

2020年8月14日 11:00

林家木久扇の死生観「くだらない落語が自殺を食い止めた」

ああ、いやだな、こんなときにサインかな、なんて思ってたら……」

その初老の男性は「木久蔵さん、私、あなたにお話があるんです」と声をかけてきた。

「聞けば奥さまに先立たれ、経営しているギャラリーもバブルが弾け絵がさっぱり売れないとかで。『もう、生きてるのが面倒くさくなって、死んじゃおうと思ってた。そしたらラジオからあなたの声が聞こえてきて』って。演芸番組で僕の落語を聴いたんだそうです」

男性はさらに真剣な眼差しで、言葉を続けた。

「それ聴いたらね、あまりにくだらなくて……、私は死のうとしてるのに、同世代の人がこんなくだらないこと喋ってる……、あ、これでいいんだな、そう思ってね。死ぬのを思いとどまったんです」

そして「ありがとうございました」と、男性は頭を下げたという。

「落語ってね、バカバカしくてもいいんです、くだらなくてもいい。
う?んと笑っていただくことで、人助けにもなるんだなって。それはね、志ん朝さんの告別式のこととつながってるから、よく覚えてるんです」
気づけば『笑点』では最古参となった木久扇さん。レギュラー出演を続けて、はや半世紀が過ぎた。

「僕ね、司会者をこれまで5人、送ってるんです。

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