2020年9月7日 11:00
「おはらい費まで請求されることも」弁護士語る自死遺族の現状
ところが、その当日に彼は病室で失神。さらに……。
「入院の翌々日かな。病室に行くと彼、オムツしてたんです。『ベッドで漏らしてしまった』って、やるせない顔をして。やがて、手がしびれ、食事もとれなくなり、常時点滴になって、高熱が出て、歩くこともままならなくなって。病室を見舞うたび、夫の容体が悪くなるんです。私のほうがパニックでした。
もう怖くて怖くて」
夫の様子を見た佃さんは思った。「この人は子供たちのそばで、まずは心を治さないと」と。
その年の暮れ。浩介さんは3人の子供が待つ広島へ戻ってきた。しかし……。1月3日。昼前になっても起きてこない浩介さんを心配し、佃さんが寝室をのぞくと、そこにはガタガタ震える夫が。佃さんが抱きしめると、浩介さんは言った。
「僕は大丈夫だから、子供たちのところに行ってあげて」と。
「それで、私は彼に『じゃ、あなたの好きなラーメン、作ってくるね』と言って、寝室を出たんです」
やがて、ラーメンができて夫を呼びに寝室に。ところが、そこに彼の姿はない。ふと見ると、隣の書斎の明かりがついていた。
「いやな予感がしました。書斎の戸を開けると……、そこには、窓枠にネクタイで首を吊っている浩介さんの姿があったんです」