2020年10月2日 06:00
“いのっちの電話”設立者語る「『自殺したい』相談が急増」
親やパートナー、あるいは会社の上司などから、なんらかのハラスメントを受けている人も多い。みんな、こんな悩みは私だけかもしれない、と思って電話してくるけど、同じ人がかけてきたのかな、と思うほど声色も似ていて、共通点があるんです」
実際に自殺者数は増えている。警察庁の調べによると、今年8月に全国で自殺した人の数は速報値で1,849人。去年同時期に比べ、246人(15.3%)増えた。増加した246人のうち186人が女性だという。
坂口さんは、その背景には経済的な問題があると感じている。
「そもそも、電話をかけてくる人たちの賃金が低すぎるんです。手取り13万円以下という人が本当に多い。
生活保護以下ですよ。いくら仕事を頑張っても賃金に反映されず、虚無感がつねにある。でも、会社に文句を言ったら解雇されるから、そこで頑張るしか道がないと思い込んでいるんです。そして、そのほとんどの人が、生活が苦しいのは自分のせいだと自分を責め続けています。でも、労働が正しく賃金に反映されないという“苦役”に近い状況下で、精神状態を冷静に保てるほうが難しいでしょう。賃金が低すぎることに気づいていない人も多い。君のことを何も評価してくれない会社と、なんで付き合うんですか。