くらし情報『認知症でも、女房がいれば怖くない 蛭子家が見つけた夫婦の形』

2021年5月10日 11:00

認知症でも、女房がいれば怖くない 蛭子家が見つけた夫婦の形

「前の奥さんを信用するのにも、交際してから3年かかったとも言われました。私は、よっちゃんにとって気が許せる相手になるために、とにかく誠実に尽くして、それを積み重ねていこうと思いました」

07年に悠加さんと蛭子さんは入籍。「よっちゃんの様子がなんだかおかしい」と、悠加さんがそう思い始めたのは17年のある晩のことがきっかけだった。

「横で寝ていたよっちゃんに、突然、たたかれたのです。一瞬何があったのかわからなかったし、翌朝には本人もケロッとしていたから仕事の疲れがたまって寝ぼけたのかなあと思っていました」

レビー小体型認知症の典型的な症状で、存在しないものが見える「幻視」が現れたのは、19年秋のこと。夜は1時間おきに起こされ、睡眠不足のまま過ごす日中には、幻視に加え、物忘れや時間と場所がわからなくなる症状も。蛭子さんの介護が悠加さんの心と体にずっしりとのしかかっていく。

「幸いにも仕事先ではひどい症状はあまり出ていないようでした。
だからこそ余計に、よっちゃんが“おかしい”のは私の前だけなのかと孤独感が募っていきました。誰かに相談しようと何度も思いましたが、タレントであるよっちゃんの症状がおもしろおかしく伝わって、芸能ネタになってしまってはいけない、と思っていたので、友達にさえ悩みを打ち明けられませんでした。

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