松田聖子の新境地を開いた「SWEET MEMORIES」のCM採用
一方、当時、アイドルが出演するCMは、化粧品やお菓子、自動車のメーカーのものが多く、本人は登場して曲を披露するのが定番。
「それがお酒のCMで、アニメ。曲も、当時は誰が歌っているのかクレジットがありませんでした。『SWEET MEMORIES』は『ガラスの林檎』のB面曲で、一部の聖子ちゃんファンにとっては『制服』と並ぶ隠れた名曲として知られていました。しかし、いまのように簡単にネット検索ができない時代だったため、多くの人が、『誰が歌っているの?』『この声、聞いたことがある!』『聖子ちゃんじゃない!?』と話題に。後にテロップで『松田聖子』と入ったことで広く知られ、ヒット曲となり、レコードも“両A面”として再発売されました」
スローテンポでしっとりと聞かせるジャズアレンジの曲は、歌手・松田聖子にとって、新境地を切り開く作品となった。
「それまでの聖子さんの曲には大人の恋愛へのドキドキ感があり、“好きな人についていく”といった初々しく、前向きな歌詞が多かった。もちろん失恋の悲しさを歌う曲もありましたが、この曲はさらに別れを回想し、美しい思い出になったという大人の目線。
演歌のような世界観でもありました」