2021年8月30日 11:00
今日がいちばん元気――ALSの声優語った闘病は「妻に甘えてた」
手も動かせない。もう歯を食いしばるしかないんです。ンーーッて。それで左右の奥歯がパキンと割れて、抜いたんです」
津久井さんは、ニッと口を左右に開き、奥歯がなくなった黒い隙間を見せる。そうやってALSのリアルな姿を配信などで伝える。
「昨年5月くらいには、最後のつもりでウクレレの演奏をYouTubeにアップ。手が思うように動かず、上から下のストロークしかできない、ヘロヘロで恥ずかしい演奏なんですけどね」
かつてはパソコンのキーボードをタッチタイピングで操っていたが、今は割り箸を口にくわえて、操作する。
「親指と人さし指が少し動くから、マウスに手を置いてもらえれば、操作できます。
絵文字も打ちます」
■妻に依存し、甘えてしまっていたと振り返った
失った機能は戻らないが、工夫で補う。そんな津久井さんに「一緒に頑張ろう」と、寄り添ってくれたのが、妻・雅子さんだ。
「行き場のない苛立ちをぶつけたこともあったし、一緒に泣いたりもしました。でも“一緒に頑張ろうの勘違い”という“患者あるある”なんですが、助けてくれる家族に依存しちゃって、甘えてしまったりするんですね」
最近まで一緒の部屋で寝ていたが、津久井さんが寝返りをうてないために、雅子さんは一定時間ごとに体を動かしてあげた。