2021年8月30日 11:00
今日がいちばん元気――ALSの声優語った闘病は「妻に甘えてた」
仕事があれば現場に同行。「トイレ」と聞こえればかけつけ、時間がかかれば「早く~」と津久井さんに文句を言われる。心身共に雅子さんの負担は大きくて、体調を崩してしまったという。
「頑張っているのは妻だけ。でも、そんな姿を見て、ボクまで頑張っている気になっていたんです。ほんと、ボクのせいです」
津久井さんは、可能な限りヘルパーさんに頼るようにした。最初は他人が差し出すしびんでは、出るものも出ないし、お尻を拭かれることに抵抗があった。
「でもね、慣れればなんとかなる。
5回分のおしっこにたえられる高性能のおむつだってあるので、つい先日から妻とは別室で寝ています。ゆっくり休んでもらいたい」
これからもさまざまな機能を失い、いずれは呼吸すら危ぶまれ、気管切開して人工呼吸器をつけるかどうかの選択を、迫られることになるだろう。人工呼吸器を選択すれば、ほとんどが声を失うことになるが、一定期間、長く生きられることが期待できる。若い人、子供が小さい患者は選択するケースが多い。一方、気管切開、人工呼吸器を選択しない場合、近い将来の死を意味することになる。
「どちらを選択するか、まだ決めていません。でも、ボクとしては、生死を選択するつもりはないんです。