2021年12月19日 06:00
仕事就けず娘と心中も考えた“無戸籍者”のSOS 支援NPOが見た貧困
■自分に戸籍はなく、夫は雲隠れ。娘と心中しようと思ったが市川さんに出会った
〈無戸籍のため働けず、親子3人、心中するしかないです。戸籍の問題を解決して、なんとか食べていけるよう手伝ってください〉
今年1月、こんなメールを受け取った市川さんは、直感する。
「これは、はよ(早く)会いにいかなあかんな」
すぐに電話を返し、続いてLINEもつなげ、翌月には住まいのある埼玉県を訪れていた。相談者のミサさん(仮名)は27歳で、小2と保育園児の2人の娘を持つシングルマザーだった。
「まず、30年ほど前に、ミサちゃんの母親が“ジャパゆきさん”としてフィリピンから来日し、結婚。夫のDVで避難しているとき、新しい日本人男性のパートナーと出会ってミサちゃんが生まれますが、出生届を出すと前夫に気づかれる恐れもあって、無戸籍のままミサちゃんを育てたんです」
ミサさん本人も、自宅で取材に応じてくれた。
「幼少のころは東京都内で暮らしていて、小学校には通えませんでした。
それが小2で埼玉県に引っ越した途端に通学を許され、健康保険証ももらえました。同じ日本なのに、地域によってこれほどの差があることにまず戸惑うんです。