2021年12月19日 06:00
仕事就けず娘と心中も考えた“無戸籍者”のSOS 支援NPOが見た貧困
中学からは戸籍取得に向け自分でも全力で働きかけましたが、市役所、家庭裁判所、法務局、弁護士など、どこへ行っても返事は同じ。『前例がありません』の門前払いです。私が半分外国人だから面倒くさいと思われたのかな。
結婚は19歳で、相手は12歳年上の日本人。無戸籍なので、事実婚です。その後、子供が生まれて市役所に行きましたが、『あなたの戸籍をまず作らないと、子供の戸籍も作れません』とだけ」
次女の誕生直後には、夫も姿をくらましてしまった。
「仕方なく、祖母の年金と住民票のいらない食品工場のパートなどで食いつなぎました。水商売もしましたが、今どき、夜の仕事もマイナンバーがないと続けられないんですよね。
私は幼いころから、母親に『なんで私を産んだの』と、恨み続けてきました。ところが、自分が母親になって、戸籍がないために出生届も出せず、今度は私が実母と同じ仕打ちを娘たちにしようとしている。これが何よりつらかった。母親失格の自分に絶望し、もう子供と死ぬしかないと思ってグーグルで“無戸籍支援”と入れて検索したら、最初に市川さんに行き当たったんです」
こんな本音もこぼれた。
「でも、それまで人に裏切られてばかりだったから、正直、期待はゼロでした。