2022年4月17日 06:00
無罪訴え94歳になったアヤ子さん支える弁護士 国を許せない思い
再審弁護団は現在、事件の真相をこう捉えている。
「被害者は、遺体発見の3日前、自転車で側溝に落ちている。このとき致命的な傷を負った。被害者の死因は、この傷が原因の事故死であり、絞殺ではない」
地裁、高裁と2連勝だった第三次再審請求だったが、19年6月、最高裁で棄却され、弁護団に衝撃が走った。アヤ子さんはすでに92歳になっていた。第四次再審請求は、高齢のアヤ子さんに代わって、長女の京子さんが申し立てた。
アヤ子さんは数年前、脳梗塞を患い、言葉が出せなくなっていた。とはいえ、耳は健在で、話しかけると反応してくれる。
昨年の春、鴨志田さんは彼女の病室を訪ねた。事務所を設立したころから、弁護団仲間が結成したバンドに参加するようになった鴨志田さん。
「さまざまな冤罪被害者の講演や支援の集いで、ピアノを弾いて、みんなで合唱すると、冤罪被害者も支援者も、弁護士も一体になれる。やっぱり音楽はいいなぁと改めて思うようになったんです」 そんな思いから『アヤ子のうた』を作ったのだ。
「この曲は、事件の共犯とされ、病死したアヤ子さんの夫の視点から作っています。彼が天国で見ていたら、きっと、こう伝えたいのではないか、と」