拒食症で体重が半分に…かつて食を恐れた少女が「みんなでおむすびを握る」ワークショップ主催へ
香菜さんは、こうした機会を通じて、各地の人や食材を結びつけながら旅してるんですね」
その言葉のとおり、この日も共に参加していた大森さんの兄弟を通じて、熊本の釜さんに淡路島の農家を紹介するという話が、とんとん拍子に決まっていた。その後ものりや調味料の話題に花が咲くなか、ふと大森さんが、
「やっぱり、おむすびを手にすると、香菜さんのオーラがすごい」
すると、当の香菜さん、
「それ、オーラじゃなく、ごはんの湯気です!」
絶妙の切り返しに、また笑い声が弾けた。
人との出会いを、食の場を心から楽しんでいる香菜さんだが、実は拒食症で死とも向き合った6年間を体験している。食べることが怖かったという10代のころから、食べる喜びを伝える現在の活動に至るまでを聞いた。
■孤独感に苛まれ拒食症になった彼女を救ったのは一人の友達だった
「食べることは生きること、そして喜び。人々や食材との出会いが楽しすぎて、どこまでが仕事かわからないほど(笑)」
’91年3月14日、北九州市で生まれ育った菅本香菜さん。父親はサラリーマン、母親は元保育士で、4人きょうだいの長女だった。読書好きで、勉強も自らやるタイプだったというが、小学校に上がるころから、人間関係に思い悩むようになる。