20年間ひきこもりだった経験から「ひきこもり女子会」を主催する林恭子さん“原因”となった母との「和解」
「もう、生きるのを終わりにしようと思っています」
そう告白すると、彼は「やってみるといいですね」と応じた。
「先生は、そう言ったあとに『でも』と続けました。『本当のあなたは、あなたの奥のほうに眠っているだろうから、そのあなたまでいなくなるのは残念ですね』と」
淡々と告げるI医師の言葉を、林さんは静かに受け止めたという。
「いま思えば、『やめなさい』などと軽々に否定されなかったのはありがたかった。ただ、そのときは、そうは言われても、死ぬのをやめようとまでは思えなくて。またベッドに潜っては『山中でひっそり死ねば、誰にも迷惑をかけないかな』とか、そんなことを悶々と考え続けていました」
それから数週間。変わらずひきこもり続けた林さんの脳裏に、不意に、映像が浮かんだという。
「自分のつま先と、その先に二つの道が見えたんです。
一つは『生』に、もう一方は『死』につながっていて。なぜか私のつま先は少しだけ『生』のほうを向いていたんです」
林さんは「これってなに?」と考え込んだ。そして、ある答えに行き着いた。
「頭では『死ぬしかない』と考えていたけど、私の体は『生きよう』としているのかな、これがI先生の言った本当の私かな、と。