「共同親権」ではわが子の命守れない…DV夫でも面会許可、手術にも同意が必要
しかし、太田さんは「DVを証明するのが難しい」と、こう続ける。
「ボコボコに殴られて顔にアザができた状態で逃げるなら、家庭裁判所も“急迫”だと認めるかもしれません。しかし実際は、そんなわかりやすいDVばかりではない。目に見えない精神的DVも多い。録音・録画ができればいいですが、余裕がない場合がほとんどです」
そうなると逃げずに我慢するしかない。結果、不利益を被るのは子どもだ。
「DVが続くなか夫の言いなりに子どもに虐待を行う母親や、子を置いて家を出ざるをえないケースも出てきて、子どもの死亡事件も増えるでしょう。共同親権を導入した諸外国では、子どもの安全のため“共同”を修正する法改正の動きが始まっています」(太田さん)
■緊急時の手術はどうなる?「急迫」かどうか、家裁の判断待ちで手遅れになる可能性も
ほかにも、共同親権になれば、子どもの進学や、入院・手術でも、原則として双方の同意が必要になる。
とくに問題視されているのは、医療行為への父母の同意が、離婚後も求められる点だ。
「急迫時は同居親単独で決定できるとなっていますが、何をもって“急迫”と判断するかが問われます」
小泉龍司法務大臣は、3月14日の本会議で、「手術まで2〜3カ月あれば急迫ではない」