「共同親権」ではわが子の命守れない…DV夫でも面会許可、手術にも同意が必要
保険証も取り上げられていたので、何年も全額自己負担でした」(山根さん)
10年近くかけて離婚が成立。裁判費用は500万円以上にのぼった。
■夫に居場所を明かさずにいるが法案通過なら不安
「子どもに障害があるとわかったとき、〈おまえのせいだ〉と暴言を吐かれて堪忍袋の緒が切れました」
そう明かすのは、同じくDV被害者の田中真美さん(仮名・30代)。
「うちは数年前に夫との間に多胎児を授かったのですが、妊娠中にもかかわらず、夜の営みを強要されていました。断ると不機嫌になり、口もきいてくれなくなるので仕方なく応じていたんです」
産後の肥立ちが悪い田中さんに、再び夜の営みを強要。その挙げ句、子どもの障害を妻のせいに……。
「もう我慢できませんでした。嫌がらせが怖いので、夫に居場所は明かしていません。
いまだに離婚協議にも応じてくれないし、共同親権が認められたら、それを理由に申し立てされるかもしれません。DV被害者の精神的苦痛は何倍にも増すのです」(田中さん)
こうした事案を数多く目にしてきた太田弁護士は、こう訴える。
「共同親権を推進する方々は、〈会えなかった子どもと会えるようになる〉〈養育費がもらいやすくなる〉などと言いますが、それは共同親権とは関係がなく、共同親権にしたからといって解決する問題ではありません。