伏見の酒蔵率いる42歳ママ杜氏「子育てと酒造りは似ている」
しかし、いちばん変えたかったのは“働き方”なのだと、きっぱり言う。
「昔ながらの休みなしの泊まり込み作業を続けていては、疲労してケガにつながるし、生産効率も落ちて職場としてもよくありません。若い働き手も出てこないと思うんです。もっと現代に合った働き方があるのではないか、とくに子どもをもってからは考え続けてきました……あっ、いけない、もうこんな時間。すみません。これから、5歳の息子の保育園のお迎えです」(大塚さん)
そう言うや、頭から白い手拭を取り去ると、蔵を出て、外に止めてあったママチャリにまたがった。大塚さんがママになったのは、杜氏となって5年目のこと。以来、酒づくりと子育てを両立していくなかで、大事なことに気付かされたという--。
社歴では2年先輩になる和田一孝さん(40)は、大塚さんが入社して蔵で働きたいと言うのを最初に聞いたとき、「できるんかいな、と思いました」と笑う。いまは蔵人として杜氏の大塚さんを支える立場の和田さんだが、実はプライベートでは夫である。新商品づくりでチームを組んだことがきっかけで交際が始まり、’08年春に結婚。