伏見の酒蔵率いる42歳ママ杜氏「子育てと酒造りは似ている」
子どもは欲しかったですが、同時に、酒づくりのシーズンに抜けたくないということも常に考えていて。杜氏がいないと、蔵や蔵人に多大な負担をかけますから。あと、やっぱり、『女だから』と言われたくないという意地もあったかな」(大塚さん)
酒づくりのシーズンを終える春に産もうとのプランどおり、長女は4月12日、長男は5月17日に出産している。
「逆に、酒の仕込みシーズンの冬には、どんどんおなかが大きくなって、一緒に働く人をヒヤヒヤさせたかも。検診も、仕事を終えてから夜間の産婦人科で受けました。ツワリが始まって醪(もろみ)の匂いに思わずウプッとなったときに初めて、昔から女人禁制だったのはこういう事情もあったんだなと実感しました」(大塚さん)
出産後は、甑倒しを終えて産休へ。長女は生後3カ月、長男は5カ月から保育園に預けて、再び酒づくりの始まる前に復帰した。もっとも忙しい冬場には、夫婦ともに定時には帰れずに、放課後に子どもたちを蔵に連れてきたこともある。
「母親になって、つくづく思いました。酒づくりと子育ては似ていると。思いどおりにいかないのも同じ。