くらし情報『篠沢秀夫さん天国へ…ALS闘病支える妻に送っていた直筆手紙』

2017年11月6日 06:00

篠沢秀夫さん天国へ…ALS闘病支える妻に送っていた直筆手紙

翌月には退院できたが、すぐに壁をつたってしか歩けなくなった。トイレで倒れて救急車で運ばれたときには、人工呼吸器なしでは生きられない状態に――。

「横隔膜の働きが悪かったのでまず呼吸器にきました。呼吸をするための筋肉が弱って酸素を取り入れることが難しくなり、二酸化炭素という毒が肺に溜まっていく……。この病気は一つひとつできないことが増えていって、それがまるで津波のように押し寄せてくるんです。呼び鈴が鳴らせなくなり、次はブザーが押せなくなりと……」

率直に「治療法はない」と説明する医師に、礼子さんは本当に「奇跡はないんですか」と詰め寄った。

「主人は20代のころフランスで事故に遭い、腸が飛び出すような大ケガをしましたが助かりました。30代で椎間板ヘルニアになりましたが40日間のけん引で完治。
60歳手前では大腸がんも克服……。本当に悪運の強い人なんです」

礼子さんは、今度も奇跡が起きるはずだと信じていた。

「人工呼吸器をつけるかどうかの決断を迫られていたときに、ちょうど初孫が生まれたんです。

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