篠沢秀夫さん天国へ…ALS闘病支える妻に送っていた直筆手紙
娘が夫に『この子におじいちゃまの記憶が残るまで生きてほしい』と言って。それに主人も、これから本を5冊書きたいと言い出して」
その日から、夫の喉に詰まった痰を吸引するのが、礼子さんの日課となった。
「自信はないですよね。24時間体制で四六時中見守って細い管で取り除かなければなりませんから。病院に泊まり込んで看護の様子を見て、吸引の練習をしました。主人にできなくなることが増えていく中で、私も食欲が落ちて、眠れなくなって、起き上がれなくなって、うつ状態に……。病院に入れようかという話もあったんです。でも、そうすると主人の好きな原稿が書けなくなるでしょう?」
礼子さんは、このまま自分まで落ち込んでいると“一家全滅”だと考え直して奮起する。
夫婦で「できなくなったことを言わない」と決めた。’10年春からは福祉サービスも受けられるようになり、夜に寝られるようになった。
「これ、主人らしいでしょ。自分の病気のことより、私の心配だなんて」と言って礼子さんが見せてくれたのは篠沢さん直筆の手紙だ。