“貧困いじめ”から救う…文京区「こども宅食」現場をルポ
全体の調整役を担うフローレンスの廣田達宣さんは言う。
「困窮した現状を周囲に知られたくないという親御さんが多く、子どもの貧困は実態がとても見えにくい。でも、こども宅食では利用者のお母さんと私たち事務局がLINEでもつながっています。悩み事を行政に橋渡しできるのです」
長年、貧困世帯の子どもを対象に学習支援を行ってきたキッズドアの理事長・渡辺由美子さん。渡辺さんは、「このプロジェクトでできたつながりが、さらなる転落を防いでくれる」と話す。
「パート収入しかないシングルマザー世帯では貯蓄する余裕はありません。お母さんが病気で仕事を休むだけで、貧困の坂道を転げ落ちてしまいます。また修学旅行の積み立ての引き落としに銀行の残高が足りないなど、急場の“1万円”が必要というとき、情報も相談する相手もいなければ彼女たちは、安易にカードのキャッシングに手を出してしまうこともあるんです。
でも、LINEで手軽に相談ができたら、事務局は行政の多様なサポートメニューを紹介できるし、支援団体につなぐこともできます」
比較的裕福な家庭が多い文京区。