“児童74人犠牲”大川小遺族 高裁判決への覚悟「勝たねばならない」
2度の流産の末に授かった最愛のひとり息子。
「幼稚園のころから大人びていて、近所のおじいさんからも『健太くん、しっかりしてるな』と褒められるほどで、自慢の息子でした」
少年野球チーム「大川マリンズ」では、セカンドと外野のポジション。だが、もう父とのキャッチボールもできない。
「船舶に関わる仕事柄、最初の学校説明会では、『学校を船にたとえれば、船長は全責任を負うんだ』と言いました。健太は9歳で夢も命も奪われたのに、教師、校長、学校、教育委員会……あんな隠蔽がまかり通ってはダメだと思った」
美広さんも、裁判中の14年12月にがんを発症している。
「私は15年に3度、手術しています。がんや大病をしている遺族も多いんですよ。それでも一審で勝ったあと、『まだ金が欲しいか』と、すれ違いざまに言われたこともありました」
とも子さんは、今後についてこう語る。
「何を言われても、健太の存在をなかったことには絶対させない。4月に出る判決がどうであれ、『お父さんとお母さんは最後まで頑張ったよ』と報告できる日まで、終わることはないんです」