2018年4月10日 17:00
離婚について聞かれ……14歳息子の大人な対応(辻仁成「ムスコ飯」エッセイ)
ぼくらはそうやって少しずつ大人になっている」。
この子をここまで大人にさせてしまったのは自分かもしれない、と反省した瞬間でした。この子はまだ14歳、他の子のように子供でいていい年齢なのです。だから、彼はリーダーなのかもしれない。クラスメートたちに頼られる理由がよくわかります。私でさえ、息子に頼っているのですから。「パパ、みんなどこか子供なんだよ。どんなに頭のいい子もみんな幼稚な面を持ってる。
そういうところも人間らしさだと思う。離婚について訊いてくる子だって、決して悪い子じゃない。この子はまだ幼いだけだと思えば、許してあげられる。だってそれはみんなが通る道だもの」。このようなことを言ってのけたのです。
私は鼻で笑い、「お前こそ子供でいろ」と言ってやりました。「まだ14歳なんだから、もっとめちゃくちゃやっていいんだ。泣き喚いてもいいんだよ。
パパがお前を守ってやる」。すると息子が今度は笑い返してきました。「大丈夫だよ。ぼくはもう気付いてる。いろいろなことを乗り越えていく力がある人間が乗り越えられない者を引っ張ってあげたらいいんだ」。やれやれ、この子にこれ以上何かを言っても無駄なようです。