[2020年映画興行総括] コロナ禍の1年。映画興行は『鬼滅の刃』の年だった。が、それ以上に洋画不在の年となってしまった。『パラサイト』で好調な出だし、だったのだが…。
考えてみれば、今年の映画界最初のトピックは、『パラサイト~』だった。もはや、誰も語らない。忘れられたようだ。コロナ禍以前にもあった情報の消費速度の速さが、恐ろしいほどに進んでいる。もちろん、『パラサイト~』のみの話ではない。このような情報の尋常ではない速度感は、映画だけではないコロナ禍が露わにした一側面だ。洋画の作品の10本を見て、何を思うだろうか。このような作品が、今年はあったのである。
改めて、胸に刻んでもらっても罰はあたらない。
映画界希望の星、『TENET テネット』は大ヒットしたのだが、あとが続かない!
『TENET テネット』(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
『鬼滅の刃』の年であった以上に、今年は洋画不在であったことが身に染みてならない。4月上旬から中旬にかけて、緊急事態宣言が地域限定から全国に及んでいく過程で、映画館の休業が全国的に広がった。この苦しい期間を経て、徐々に営業を再開していったのが5月下旬以降だ。洋画は、米国の公開延期を経て、軒並み公開できなくなった。もちろん、単館系興行の作品はあったが、ここでは全国公開規模の作品を指す。