充実のコレクションからアーティゾン美術館の新しい可能性を実感できる 『STEPS AHEAD』展、5月9日(日)まで開催中
ソファは倉俣史朗、彫刻と絵画は田中信太郎によるもの
「カンディンスキーとクレー」に続くセクションは「倉俣史朗と田中信太郎」。色彩が豊かな絵画が並ぶにぎやかさも感じさせる空間と、モダンで静謐な空間が隣り合う構成も刺激的だ。
プロダクトデザイナーの倉俣史朗と画家で彫刻家の田中信太郎の二人は生前から交流があり、旧ブリヂストン本社ビルの大規模改修の空間デザインを倉俣が手掛け、田中の作品を設置したことから石橋財団とも縁が深かった。このセクションでは、二人の家具と彫刻や絵画が配置されている。なお、倉俣の椅子は美術館の各所に休憩用として設置されているので、座り心地も体感することができる。
展示風景 「抽象表現主義の女性画家たちを中心に」セクションより
抽象表現主義の女性画家たちのセクションも見どころのひとつだ。上記写真の壁にかけられた作品は、左のリー・クラズナー《ムーンタイド》1961年、中央のエレイン・デ・クーニング《無題(闘牛)》1959年、右のジョアン・ミッチェル《ブルーミシガン》1961年と、すべて女性作家の手によるもの。
もともと石橋財団はブリヂストン美術館時代より戦後のフランス抽象絵画の展開に目を向けてきており、その研究過程のなかで第二次世界大戦後にアメリカで発生し、世界的に影響を与えた抽象表現主義の勃興に、女性画家たちの活躍も大いに寄与していることが浮き彫りにされていったという。