2021年10月20日 07:00
役者であり、制作者。斎藤工が日本版『CUBE』に懸ける思い「人間の業や本質を描く作品に」
と言って裏稼業の人たちを追い返していました。
その後、僕は用事があり外に出たのですが、メトロ(駅)に向かう道中、なんと裏稼業の人たちと再遭遇してしまい……「さっきの宿にいたやつだろ?警察に行く気か!」と言われ、何度違うと説明しても通用せず、おそらく組織のボスのような老人が乗っている車に連れ込まれたんです。そして、パスポートを含めた荷物を全部取られ、拉致されてしまいました。郊外の農家のブドウ畑のような場所で車から降ろされ、木のふもとでスコップを渡されて。僕はそれまで色んな映画を見てきたから、スコップを渡された意味が分かってしまい、これはもうダメだなと思いましたね。親や祖母より先に死ぬ……ごめんね……と走馬灯を見ながらゆっくりと穴を掘り進めました。
幸いなことに、まだ埋まらない半分くらい掘ったところで取られた荷物を投げられ、シャベルを取り上げられ、「Take care(気を付けろ)」と言って彼らは去っていったのですが……」
この経験から斎藤さんは人生を“余生”として考え、「今はボーナスタイムなんです」と話すのだ。
「僕は一度体や脳が死を受け入れてしまった。
抵抗するのではなく、死へ誘われていました。