綾野剛が見た一筋の光「息苦しくなったら、空を見上げてみればいい」
本来の自分とはかけ離れた役だ。どう共感の接点を結び、役に近づいていくのか。その問いに、綾野は「僕は役に対して共感したことがない」と持論を述べた。
「むしろ共感という感情は邪魔なんです。だって、それは綾野剛の主観でしかないから」
では、綾野剛が役を生きるときに最も大切にしているものは何か。綾野の答えに、迷いはない。
「自分がいちばんその役を愛してあげること。僕、これまでトータル3000人ぐらいは役で人を殺していますけど、それでも自分の演じる役を愛せなかったことはない。
もちろん人を殺すこと自体は肯定できません。ちゃんといけないって否定する。その上で、愛する。それはもう共感を超えている」
綾野剛は今や「この人が出ている作品は面白い」と映画ファンから信頼を寄せられる俳優のひとりだ。しかし、作品選びの基準は、基本的に「オファーが来た順」だという。それだけオープンな姿勢でいながら、刺激的な作品に次々と出演している理由はどこにあるのか。そこに見えるのは、綾野独特の感性だ。
「台本を読んだときに、役に乗っかって生きた気持ちになれるものとなれないものがあります。
僕は、生きた気持ちになれない台本に出演したいと思っています」