2021年10月24日 10:00
野田秀樹インタビュー「演劇観が揺らぐくらいのインパクトがある」 NODA・MAP番外公演『THE BEE』9年ぶりの日本語版上演に向けて
そうか、刑務所から脱走して初めて女房の声を聞いたのは、この電話のこの瞬間なんだということを今頃……スイマセン、初演から15年経って気がつきました(笑)。作品としての印象は、内側から見ても外から見ても、意外に違わない……ってことが意外かな。自分で言うのもナンだけど、やっぱり面白いなと感じましたね。75分くらいで終わるので、これを観て眠れる人はたいしたものだなと。ある意味、客席にそういう人を見つけたいと思う(笑)。それくらい、始まったらワ〜〜ッて引き込まれて、「いつか落ち着けるんじゃないか」「いつか安心感をもらえるんじゃないか」と思っているうちに、引きずり込まれて終わる(笑)。それは間違いないなと。
――小古呂の妻に対する暴力描写など、初演時からフェミニズムの観点でも物議を醸していましたが、今はさらに、観客の作品に対する見方が敏感になっていると思われます。
そう、今、これを観て嫌う人はいるだろうと思います。フェミニズムの見地から言うと、とんでもないと。もちろん性差別の立場ではないということは理解してもらえるにしても、生理的に嫌だなと感じる人はいるかもしれない。役者にも「もしかしたら途中で退席する人がいるかもよ」