2021年9月17日 12:00
いま最も聴くべきメゾ・ソプラノ脇園彩のロッシーニ《チェネレントラ》!新国立劇場のオペラ新シーズンまもなく開幕
テクニックも経験もある方なんですけど、それをひけらかさず、本当に語るように歌って、人間性が表現に出てくる。いつか彼と共演するのが長年の夢だったので、それがまさか東京で叶うとは。たくさんのことを学べると思っています。
――ご自身の演じるアンジェリーナ役の見どころ・聴かせどころを。
私が一番大事に思っているセリフが、最後のアリアの前のレチタティーヴォ(※話し言葉のように歌う部分)の中に、さりげなく出てきます。「私の復讐は彼らを許すこと」
アンジェリーナが王子と結婚することになり、彼女を虐げていた継父と義理の姉たちを許して言うひとことです。この言葉を見て、私は自分の新しい世界の扉が開いた気がしたんです。
理不尽な扱いを受けたりして辛い思いをすると、つい怒りや悲しみに飲み込まれてしまいそうになるじゃないですか。
でも、ちょっと視点を変えて、ネガティヴな感情を解放することが、よりよく生きるためのひとつの解決策になりうるのではないかと思うんです。
ロッシーニって、物の見方がものすごく冷静で俯瞰的なんです。日本の禅とか能にも通じるような。困難な状況でも、どんなに辛いことも笑いに変えてしまう。「いろいろあるけど、人生っていいよね!」